浅場には砂や泥が堆積することで、砂州や干潟などの地形が形成されます。このような環境は、多くの生き物を育む場として機能しているだけでなく、沿岸域の水質浄化にも役立っていると言われています。
東京湾において行われた研究では、浅瀬の干潟(三番瀬)は湾奥部と比べて底生の生物の種数や量が多かったこと、その多くは二枚貝類であったことが明らかになっています。干潟の二枚貝類は海水を濾過して、その中に含まれる懸濁物を食べています。浅瀬の干潟は、このような濾過食者を育むことで、海水の浄化に寄与しているといえます。
沿岸域の浅瀬環境は、多くの場所において工場造成などの目的で埋め立てが進んできました。例えば東京湾においては、昭和40-50年代にかけて水面の20%が埋め立てられたともいわれています。浅海域の担う機能を考慮すると、今後は不必要な埋め立てを防ぎ、今ある海岸環境を守っていくことが重要になるでしょう。
参考文献
東京湾環境情報センター「東京湾を取り巻く環境」
https://www.tbeic.go.jp/kankyo/mizugiwa.asp
国立環境研究所. 2002. 干潟・浅海域-生物による水質浄化の研究-. 環境儀3: 1-14.