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フナムシは掃除屋さん

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フナムシは等脚目フナムシ科に属する甲殻類の一種です。ダンゴムシやワラジムシなどと同じ等脚目に分類されます。頭部には長い触角と大きな眼があり、7対の歩脚と尾部には2つに枝分かれした尾脚が1対あります。集団で動く習性と見た目からあまり万人に好かれているとは言い難い生き物ですが、彼らは生態系の中で大事な役割を担っています。

フナムシは腐肉食者(スカベンジャー)とよばれる生物の仲間です。浜に打ち上げられた海藻や魚の死骸などを食べるので、海岸の掃除屋とよばれることもあります。フナムシが分解した生物の遺骸の栄養が海に還り、また新たな生物を構成することを考えると、フナムシは海の豊かさを陰ながら支えている生物であるといえるでしょう。

実は現在、フナムシは一種類ではないことがわかっています。2024年5月、従来の「フナムシLigia exotica」は日本沿岸においては少なくとも3種類に分けられるという論文が発表されました。

兵庫県西宮市産、大阪府岬町産、神奈川県江の島産のフナムシの形態と遺伝子情報を調べると、大阪府岬町産と神奈川県江の島産はそれぞれ新種であることがわかりました。そこで、岬町産はアオホシフナムシ(Ligia laticarpa)、江の島産はフタマタフナムシ(Ligia furcata)と命名されました。従来の「フナムシ」という和名では混乱の元になるので、Ligia exoticaに対して「トライフナムシ」という和名が新たに提唱されました。

参考文献
大阪市立自然史博物館 > [研究成果] 1種と思われていた「フナムシ」を調べると3種だった! (2025年1月20日閲覧)
https://omnh.jp/archives/11330
角田孝一, 京都府ホームページ > 丹後の海の生き物(フナムシ)(平成18年11月22日、京都新聞掲載)(2025年1月20日閲覧)
https://www.pref.kyoto.jp/kaiyo/funamusi.html

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