トゲモミジガイAstropecten polyacanthusMüller & Troschel, 1842はヒトデ綱モミジガイ科に属するヒトデの一種です。名前にカイとついていますがれっきとしたヒトデの仲間で、日本では富山湾および房州以南、外国ではインド太平洋〜ハワイ〜紅海〜アフリカ東岸にまで分布する広域分布種です。浅海の砂浜に住み、昼や夜は砂を被ってじっとしていますが、明け方や夕方になると這い出してきて餌をあさります。
体色は、背面は暗灰褐色で、その名前にもある長い棘の下半分は暗灰褐色ないし黒色、上半分は白色ないし淡紫色を呈します。ビーチコーミングをしていると時々見かける打ち上がった個体は日光に曝されて色が抜けてしまい、淡い褐色を呈していることが多いです。
ヒトデの仲間はその大きさを、体の中心から腕の先までの長さ(幅長)と、中心から腕と腕の股までの長さ(間幅長)、そしてその比率で表します。トゲモミジヒトデの幅長は大きいものでは9 cmを超え、幅長と間幅長との比は3〜4.5にもなります。
トゲモミジガイや近縁のモミジガイAstropecten scopariusMüller & Troschel, 1842には通常多くのヒトデが持っている吸盤状の管足がありません。そのためトゲモミジガイは足で砂を蹴ることで砂上を移動します。
参考文献
内海冨士夫, 原色日本海岸動物図鑑 改訂第三版 保育社, 1982