砂防堰堤の設置により、現在多くの砂浜では河川からの砂の供給のバランスが崩れ、砂浜の面積が減少しています。また港や消波堤などの設置により海流による漂砂の移動が阻害されること、地球温暖化による海面上昇も砂の減少の原因となります。砂は河川以外にも海岸の崖や海底から海流によって運ばれてきますが、砂が供給され波や風が持ち去るという均衡が破られると、わたしたちには思いもよらなかった影響を及ぼすことがあります。
砂が減ってしまうと砂浜の面積が減り、海岸が後退します。これにより砂浜に生息する生物や砂浜を餌場にしている海鳥などは苦境に立たされます。また砂浜はビーチコーミング、海水浴や潮干狩りといった文化的生態系サービスをわたしたちに提供していますが、砂浜の減少・消失によりそれらの提供も不可能となります。
河川由来の砂を増やして砂浜の回復を図るためには、根本的には砂防堰堤の再編成が必要となります。その他養浜といって砂を他方から運んできて足す対策もありますが、これには砂がどこに持ち去られているのか海流を解析し解析する必要があります。
参考文献
宇多高明, 石井隆, 内田光一, 甲賀肇, 影山安秀, 古池鋼, 石川仁憲, 遠州灘海岸における長期的海浜変形予測と養浜の効果検討 海岸工学論文集 土木学会, 53, 666-670, 2006