植物にとって砂浜は非常に過酷な環境です。砂は根を張るには不安定で、栄養もありません。風に吹き寄せられてきた砂に埋もれる可能性もあります。塩辛い潮風は大抵の植物の生育を妨げ、強烈な太陽の光を遮るものもありません。このような独特かつ過酷な砂浜という環境に適応している植物のことを、海岸植物といいます。
ハマニガナやコウボウシバなど多くの植物は砂に長く深く根を伸ばして体を支えます。地下茎と地上茎を分け、地下茎を深く伸ばすと同時に地上茎を伸ばして群落をつくる種類も多くいます。群落をつくると風に吹き飛ばされる危険が減り、栄養分や水分を隣の株と分け合うことができます。
ハマボウフウやネコノシタのように分厚く硬い葉をもつという特徴もあります。分厚い葉は水分を貯め乾燥に耐えるのに、硬い葉は飛んでくる砂や照りつける日差しから身を守るのに役に立ちます。
多くの海岸植物を観察するのには、植物の生育が盛んな夏季が最も適しています。特に砂浜の植物は春から夏に花をつけることが多く、季節が移ろうにつれてさまざまな姿を見せてくれます。